【15分で気分に合わせる】エネルギーレベルでタスクを決める技術
限られた時間の中で「何をするか」迷っていませんか
日々仕事に追われ、家事や育児との両立に奮闘されている皆様にとって、時間は非常に貴重な資源です。ようやくできたわずかなスキマ時間で「さあ、何をしよう」と思ったとき、膨大なタスクリストを前に迷い、結局何も手につかなかった、という経験はないでしょうか。また、タスクを始めても、どうも集中できずに効率が上がらないと感じることもあるかもしれません。
私たちの集中力やエネルギーは常に一定ではありません。疲れている時、少し気分が乗らない時、逆に高い集中力を発揮できる時など、その時々で取り組めるタスクの種類や質は変化します。限られた15分という時間を最大限に活かすためには、この自分の状態、つまり「エネルギーレベル」に合ったタスクを選ぶことが有効なアプローチとなります。
この記事では、1日15分程度の短い時間で実践できる、「エネルギーレベル」に合わせて最適なタスクを選ぶための具体的な技術をご紹介します。この方法を身につけることで、スキマ時間をより生産的に使い、タスクへの着手ハードルを下げ、短い時間でも確かな成果や達成感を得られるようになります。
なぜエネルギーレベルでタスクを選ぶのか
私たちの脳や体は、時間帯や体調、精神状態によってパフォーマンスが変動します。高い集中力が必要な創造的な作業や複雑な思考は、エネルギーレベルが高い時に行う方が効率的です。一方で、定型的な入力作業や簡単なメールチェックなどは、比較的エネルギーレベルが低くても実行可能です。
ご自身のエネルギーレベルを無視してタスクを選んでしまうと、どうなるでしょうか。例えば、疲れている時に無理に高度な集中力を要するタスクに取り組んでも、なかなか進まず、かえって疲労感が増したり、タスクへの苦手意識が生まれたりする可能性があります。逆に、エネルギーが高い時に簡単なタスクばかりを選んでしまうと、その貴重な能力を十分に活かせないことになります。
短い時間で効率的に成果を出すためには、「今の自分にできることの中で、最も生産的なタスクは何か」 を見極めることが重要です。エネルギーレベルに合わせてタスクを選ぶことは、まさにこの判断を助け、15分という時間を質の高い作業に充てるための羅針盤となります。
15分で実践 エネルギーレベルを活用したタスク選定術
このテクニックは、主に以下のステップで構成されます。いずれも短時間で実践できるため、日々のスキマ時間に組み込むことが可能です。
ステップ1: 現在のエネルギーレベルを把握する（約3分）
タスクに取り掛かる前に、ほんの数分、今の自分の状態に意識を向けてみましょう。
- 体調: 疲労感はないか、眠気はないか。
- 気分: ポジティブか、ネガティブか、落ち着いているか、散漫か。
- 集中力: 高まっているか、ぼんやりしているか。
- 意欲: タスクに取り組む気力はあるか。
これを、例えば「高」「中」「低」の3段階や、「集中力◎」「まあまあ〇」「休憩したい△」といった簡単な指標で把握します。深く考える必要はありません。「なんとなく、今日はあまり複雑なことは考えたくないな」「少し疲れているけれど、簡単な作業ならできそうだ」といった感覚を捉えるだけでも十分です。
ステップ2: タスクをエネルギーレベルで分類しておく（事前準備または約7分）
日頃から、抱えているタスクを必要なエネルギーレベルでざっくりと分類しておくと、選定がスムーズになります。これは、タスクをリスト化する際に同時に行うのがおすすめです。
- 高エネルギー: 創造的なアイデア出し、企画書の骨子作成、難しい問題の分析、重要な意思決定、集中力を要する複雑なコーディングや文書作成など。
- 中エネルギー: メールへの返信（簡単なもの以外）、資料の構成検討、一般的な情報収集、簡単なレポート作成、打ち合わせ内容の整理など。
- 低エネルギー: メールのチェックと一次振り分け、簡単なデータ入力、ファイルの整理整頓、定型業務の実行、簡単な情報の確認、タスクリストの確認など。
すべてのタスクを厳密に分類する必要はありません。「これは考える力が必要そうだな」「これは手を動かせば進みそうだな」といった感覚で分けられます。最初は数個のタスクで試してみましょう。
ステップ3: エネルギーレベルに合わせてタスクを選ぶ（約5分）
ステップ1で把握した現在のエネルギーレベルと、ステップ2で分類したタスクリストを見比べ、今の自分に最も適したタスクを1～2個選びます。
例えば、
- エネルギーレベル「高」の時: 普段後回しにしがちな、じっくり考える必要のある企画検討や、難しい課題の解決策を探すタスクを選んでみましょう。15分集中するだけでも、思わぬ突破口が見つかるかもしれません。
- エネルギーレベル「中」の時: 少し頭を使うが、ルーチン要素もあるメール対応や資料整理などが適しています。中断されていたタスクの続きで、ある程度先が見えているものに取り組むのも良いでしょう。
- エネルギーレベル「低」の時: 疲れていてもできる、簡単なチェック作業や入力作業、ファイルの整理などがおすすめです。たとえ短時間でも「完了」できるタスクを選ぶと、達成感を得やすく、次の行動へのモチベーションにつながります。
重要なのは、「今の自分なら、このタスクを15分だけでも無理なく、かつ最も効率的に進められそうだ」と判断することです。
このテクニックの効果と応用
この「エネルギーレベルに合わせたタスク選定術」を実践することで、以下のような効果が期待できます。
- タスクへの着手ハードルが下がる: 自分の状態に合ったタスクを選ぶため、「やる気が出ない」「難しそう」といった感情に左右されにくくなります。
- 集中力が高まる: 無理なく取り組めるタスクを選ぶことで、短い時間でも高い集中力を維持しやすくなります。
- 短い時間でも成果を感じやすい: 自分の能力を最大限に活かせるタスクを選ぶため、15分という短い時間でも具体的な進捗や完了を感じやすくなります。これは「やることが山積み」と感じている方にとって、大きな মানসিক的な支えとなります。
- 中断からの復帰がスムーズに: 中断後、改めて自分のエネルギーレベルを確認し、その時の状態に合った次の15分タスクを選ぶことで、迷いなく作業に戻ることができます。
この考え方は、仕事だけでなく日常生活にも応用できます。例えば、家事であれば、「疲れているけど、簡単な食器洗いだけ15分」「元気があるから、少し手間のかかる料理の下準備を15分」といった具合です。育児でも、「今日は体力があるから、外で少し体を動かす遊びを15分」「少し疲れているから、座ってできる絵本の読み聞かせを15分」のように、その時の親子の状態に合わせて活動を選ぶことができます。
まずは「今の自分」を知る15分から
エネルギーレベルに合わせてタスクを選ぶ技術は、特別なツールや複雑な知識を必要としません。必要なのは、少し立ち止まって「今の自分の状態」を把握することと、タスクを簡単な基準で分類しておくことです。
まずは、今日のあなたのスキマ時間、例えば朝の仕事開始前、休憩時間、あるいは帰宅後の短い時間などで、今の自分のエネルギーレベルを把握してみることから始めてみてはいかがでしょうか。そして、そのレベルに合ったタスクをリストから一つ選び、15分だけ取り組んでみてください。
この小さな習慣が、限られた時間を最大限に活かすための、確かな一歩となるはずです。